ギチギチと、体がきしんで悲鳴をあげているように思う。 初めては誰だって痛いとはいうが、こんなにも痛い行為が次からは痛くなくなるなんて嘘なんじゃないだろうか。 痛みのあまり食いしばった歯の間からくぐもった声をもらすと、真上で困ったようにオレンジ色の髪が揺れた。 「………………痛い?」 「………っいたい……」 ギシリと軋むベッドの上、柔らかなマットレスの感触を楽しむ余裕もなくただひたすら痛みに堪えてみせる。 柔らかい茶色の光の中、涙でにじんだ視界に心配そうな清純の瞳がぼんやりと見える。 「なるべく口で息吐いて、お腹の力抜いて?」 「…………無理……いっ!!」 「………痛い?」 ほんの少しだけ腰を進めた清純の動きにすら、力の抜けない体は敏感に痛みを感じ取る。 痛い。痛すぎる。 問いかけに返事する事すら出来ず、はっ、はっ、と浅い呼吸を繰り返すあたしを、清純は「そう、そうやって息はいて」と優しく促す。 「女の子は、初めてはどうやっても痛くなっちゃうんだよね………もうちょっとリラックス出来たらいいんだけど」 「……ごめん」 「ああ、そういう意味じゃなくて。んー…………。一回指でイっといた方がいいのかな」 「え?」 つながった体勢のまま前にも後ろにも引けない状態で、清純は「うん、そうしよう」とにっこり笑って指先を下へ移動する。 一体何を始めるのか、と不安になったあたしに、「力抜いてねー」と、もう何度目になるか分からない言葉を清純はかける。 「清純、ちょ、何するつもり……」 「んー大丈夫大丈夫、ほらココをこうしてー」 「っあ、んっ!!や……っ!」 長い指先をするりと秘部に滑らして、くち、と小さな水音を立てた瞬間、甘い痺れが全身に走る。 何をされてるのか分からないまま素直に喘いだあたしを、清純はひどく満足そうな顔で見る。 「…………気持ちいい?」 「や、だ………清純、どこ触って……!あ、馬鹿っ!」 自分からは見えない脚の間、清純の手がいやらしく動くのだけが視界にうつる。 くちくち、と小さく響く水音と共に、全身に走る甘い快感。 のけぞるように背中を逸らしたあたしに、清純はクツリと笑みをこぼして敏感になった突起をくちりとつまむ。 「―っ、あ、あーっ!!んんっ!!」 「………で、今度はココを……こう?」 「ひゃあんっ!!」 ぞくぞくするような刺激に薄い鳥肌が立って、きゅう、と膣が内壁を締めたのが分かる。 「あ、今締まった」と笑いながら言った清純に、堪えきれない程の羞恥心が湧いてくる。 「清……純、恥ずかしいから……やめっ、んっ」 「聞こえなーい。ほら、すごい濡れてきたよ」 「バ…カ、清純……!!」 恥ずかしさと快感からぶんぶんと頭を振ったあたしを、「素直じゃないなあ」と笑いながら清純は頬にキスを落とす。 どうにかしてこの状況から逃げ出したいと身をよじらすと、未だつながったままの秘部からずくんと鈍い痛みが走る。 「いっ…いた…」 「ほらほら、動いたら痛くなるよ?大人しくしてて」 「―っ、う……っ……」 「俺に任せてってば。力、抜けさせてあげるから」 ね?と言いながら微笑んだ清純にゆるゆると動くのをやめると、「イイコだね」というように優しく頭を撫でられる。 再び動かし始めた清純の指がくちゅくちゅと水音をたてて、それが自分によるものだと思うと酷く恥ずかしい気分になる。 淫猥な自身を見せ付けられて、まるで耳から犯されてるみたいだ。 「―んっ、ああっ……ふ………っ!」 クリクリとこねるように、そして優しくこするように。 突起だけを集中して責められ、頭の中が徐々に白く霞がかっていく。 じれったい程に気持ちよくて、何も考えられない。考えたくない。 「清………純っ、なんか、やだ、もう、あ、指……っ動かしたら…!!」 「…………イキそう?」 「わかんな……っ!あ、そんな激し………っ!!あ、あーっ!!!」 涙でにじんだ視界に、清純のオレンジ色の髪がひどく鮮明に映る。 体が自分のものでないかのようにびくびくと震えて、快感が爪の先まで電流のように走った。 頭の中が真っ白で、何かが弾けたような気がする。 何をされて、何が起きたのか。 「……………っ、あ……………あ………」 「……………………イッた?」 「…………………………っ」 言葉を発する事も出来ず、ただぐったりと弛緩してしまったあたしに、ひどく優しく清純が触れる。 初めて感じた絶頂に、これがイクっていう事なんだ、と未だ落ち着かない呼吸のまま冷静にそんな事を思う。 「清純………」 「んー?」 「ちから……が、はいんない………」 ぐったりと四肢を投げ出して、回らない舌でそう言ったあたしを、清純は嬉しそうに見つめる。 荒い呼吸を繰り返すあたしの胸を優しく撫でて、清純は少しだけ申し訳なさそうに口を開く。 「………………それじゃ、ちょっとキツイけど我慢してね?」 「………っ、…………え?」 「んっ」 「何が」、と聞き返そうとした声は言葉にならず、まだ呼吸も整わないあたしの体に、ずくん、と激しい痛みが走る。 「!!っひあっ、っ!!」 「――――く、っ………っ」 「っ、――――っ!!」 全身の筋が硬直して、頭のてっぺんから爪の先まで串刺しにされたような傷みに清純が一気に侵入してきた事を知る。 痛い。 ぼろぼろと堪える事が出来ずに溢れ出した涙を、清純が優しく指でぬぐいとる。 「……………ふぅ………。入ったよ、」 「ん………っ」 「まだ、痛む?」 「…………思ったより…はへ……ぃき」 指が白くなるほど力いっぱいシーツを握るあたしの手を、千石が優しく撫でて力を抜こうとしてくれる。 少しずつ広がっていく異物感と痛みはきっと処女膜が裂けたもので、それでも最初の頃よりは大分落ち着いた痛みになっている。 「動いても大丈夫?」 「…………っ多分……」 ゆっくりと清純が腰を動かすと、鈍い痛みの中に快感があるのが分かる。 ほんの少しだけ顔を歪めた清純の顔がひどく色っぽくみえて、女なのに思わずどきりとしてしまった。 「………っ、、痛くない?」 「大丈夫………」 「もうちょっと早く動かすよ?」 徐々に速さを増していく腰の動きに、痛みがぼやけて少しずつ快感が増してくる。 気持ちいい、と小さく呟くと、あたしの上で清純がひどく嬉しそうに笑った。 「………っん……あ………清純……っ」 「…………っ!」 両腕で体重を支えながら、清純が腰を前後に激しく動かす。 清純の首に両腕を巻きつけてしがみつくと、柔らかいオレンジの髪が頬を優しくくすぐった。 「、すっごい気持ちいい………」 「ん……っ、あたし……も…」 「………っ」 清純が腰を動かす度に、熱い芯をもったモノが、ズン、と深く奥に突き当たる。 突かれる度にまだ少し感じる鈍い痛みに少しだけ顔をしかめると、清純が申し訳なさそうに口を開いた。 「ごめ、…俺、イキそう、かも…っ」 「んっ………、いー、よ……」 「…………っ!!」 ひときわ早く腰を動かしながら、清純があたしを激しく突き上げる。 緩やかな痛みと快感に身を任せていると、堪え切れなくなったのか清純が思いっきりあたしを突き上げて抜いた。 「くっ………はぁっ………!!」 「んんっ……………」 下腹部にあった異物感が消えて、どろりとした白い液体が太腿の上にかけられる。 快感に歪んだ清純の顔を、ひどく美しいと思った。 ◆ ◆ ◆ 「………ねぇ清純」 清純「ん?なになに♪」 「ちょっと思ったんだけどさー、冒頭の『女の子は初めはどうしても痛くなっちゃうんだよねー』………って、セリフ、今まで相当経験してきてないと言えない言葉だよね?」 清純 (ぎくっ!!)「そ、そう………でもない…よ?ほ、ほら一般論っていうか、女の子って初めては痛いって言うじゃん!?だ、だから、えーと、その……って、ちゃんちゃん、何そのチェーンソー!?どこから持ち出したの!?うぎゃー!!」 |