「日吉」
「なんですか?」
「したい」
彼と彼女の欲求不満 01
突如彼女から発せられた率直な言葉に、日吉若は飲んでいた緑茶を噴出しそうになった。
すんでの所でどうにかこらえなんとか液体を食道に流し込み、小さくケホ、と咳払いをする。
「…………したい、って、何を、ですか」
「エッチ」
確認の意味で問いかけた言葉に、またもや直接的な言葉をは平然と答える。
涼しい顔つきで言うひとつ年上の彼女を見ながら、日吉は努めて冷静に返す。
「………今日は駄目です」
「なんで」
「兄が隣の部屋にいます」
「…………声出さないから」
「駄目です」
絶対ばれるから駄目だ、と自分にも言い聞かせるように頑として言う日吉に、はあからさまに不満の意を示す。
「……声出さないからー。我慢するからー。しよーよー」
「駄目です」
「せっかく生理終わったのにー。する。したい、しよう。ヨシ決定」
「何一人で決めてるんですか。しません…っう」
言葉尻を封じ込めるように押し付けられた唇。
柔らかくて甘い感触のそれに、理性では抵抗しなくてはと思うのに、本能がそれを拒否して体が動かない。
「…っ、ん…………ね、しよ?」
「……………駄目、です、ってば」
「……………ケチ」
「そういう問題じゃない…っ、ちょ、どこ触…っ」
きわどいトコに触れるの手を、振り払うだけの力はあるのになぜか出来ない。
傍からみれば男が女に押し倒されてるという、なんとも情けない状況。
なんでこんな事になったんだろう、と後悔する日吉の思いを知ってか知らずか、は巧みに彼を誘惑し続ける。
「……………ね?しよっか」
にっこりと、ねだるように上目遣いで見られ完璧にの罠に落ちてしまったと日吉は思う。
いくら学校でポーカーフェイスをきどっていても、所詮日吉も14歳の男。
既に反応しきった若い体でそれでも最後の抵抗とばかりに小さくため息をついてみせる。
「…ばれたらどうするつもりですか」
「日吉家公認で嫁にもらってもらう」
「……………はぁ」
どこまでが冗談でどこまでが本気なのか。
もう一度小さくため息をついた日吉の唇を、は素早いキスで塞ぐ。
「大好き、若」
「…………声、本当に我慢してくださいよ」
「それは若次第じゃない?」
「…………(複雑だ)」
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Web拍手で大好評だったカレカノ第1話です(笑)
名前変換にて裏ページに最UPさせて頂きました。