冬休みだって言うのに毎日部活部活。
外で動いてる奴らは寒い寒いとこぼしてるけれど、水仕事ばっかなマネのが寒いんだよ!怒
というわけで部誌整理という言い訳でストーブがんがんの部屋でぬくぬくと快適な時間を過ごしていたあたしの耳に悪魔の音が響いた。
悪魔の音…それはホイッスルの甲高い音と共に聞こえる爺むさい部長の休憩を告げる声。


くそう!せっかくあったかかったのに!


スポーツドリンクのペットボトル(2リットル)を数本担ぎ、コートへ向かう。
ドアを開ければそこは一桁の温度の世界。


「さっむ!!!!」


寒い寒い言いながら重いペットボトルをよろよろと運んできたマネージャーに部員が群がる。
腕まくりとかしている奴もいて見ていて寒い。
でもみんな汗だくで水分を欲し、紙コップを手に列を作っていた。
全部のペットボトルに列が出来、一息ついていると突如ある群れがいっせいに噴いた。


「なっ!!もったいないでしょ!?」
「だっ…だって!」
「乾先輩汁並みだぜコレ…!!!」


おえーっと言いながら水道に走っていく部員たち。
不思議に思い恐る恐る舐めてみる。


「ガッ…! あっま…!!!何コレ甘すぎ!!!」


超濃厚ポ●リがぎっしり詰まっていたのだ。
こんなことするのは…


「リョーマ!どこ行く気?!」
「…が悪いんじゃん」


人のせいにしますか!!


「だっていっつも超薄くて…」
「だってみんなガブガブ飲むんだもん!粉●カリだって高いのよ?!」
「だからって薄めすぎ!味ないもん!!」


生意気に反論するルーキーにそうだそうだと加担する声が上がり、あたしは1人に多勢だわと思いながらも言い返す。


「だからってこれ何袋入れたの?!濃すぎ!!!」
「…どのくらいがいいのか知らなかっただけだし」


「だけ」ですますな!
こんだけ濃けりゃ十倍に薄めたって薄めたりないわ!(薄めすぎ)
全く…余計なことして。


「俺それ自分で薄めて飲むッス…カ●ピスの原液みたいなもんでしょ?」
「ダメ!これは今から十本のペットボトルに詰め替えるの」
「それ以外のはいつものほとんど味ない中途半端なポカ●にゃんだから俺それ薄めたの飲みたい!」
「そんな贅沢なことさせるか。飲みたかったら持参しろ!」
、部費で買ってるんだからちゃんとした濃度のものを…」
「じゃあ乾汁を水で薄めて飲めよ」


桃と英二と副部長にことごとく言い返し、濃いペットボトルを抱えて部室に戻ろうと踵を返す。
みんなどんだけ部費情勢が厳しいか知らないからそんな事言えるのよ!
予備のペットボトルがいくつあったか考えながら歩いているとリョーマが悠々とファンタを飲んでいるところに出くわした。
事件の犯人でありながら1人で何してやがる、という視線を送るとちょっと眉をしかめて近づいてきた。


「言いたいことあんなら言ったらどうスか。」
「炭酸は良くないんじゃない?スポーツにはやっぱりス」
「あんなんをスポーツドリンクとは言わないっスよ。味付き水。」
「ただの水よりマシなんじゃない?だいたい甘党かなんか知らないけど勝手な事されちゃ困―…」



ふいに口を塞がれ、人が喋ってんのを遮らないでよ、という思考も固まり、ほんの一瞬だったにも関わらずその効果は増大で。



「甘いのはコレだけで十分。」


唇をぺろりと舐め、「まだまだっスね」と言い残し去っていった後輩を、初めて唇奪われたあたしはただ呆然と見送るだけで。


しばらくしてやっと思考回路が再起動したあたしは真っ赤になり、ペットボトルを抱えたままもう見えない後輩に「バカ!」と叫ぶことしか出来なかった。



〜へぼへぼ管理人より感謝の言葉〜

うおー!!
ぎゃはー!!(何)
尊敬してやまないサイトさま、くりぃむ☆ぱふぇ(LINKページ参照)の管理人をなさっている、猫山さまよりキリバンにてリクエストさせてもらいまして。頂いて、(というより無理矢理強奪)させてもらったのです!!?もうもう猫山さまは、いつも素敵な甘ギャグを書いてくださるのですよ!!大好きなのです〜!!
猫山さま、ありがとうございました!!