「………おお、越前もやっぱり男だったのか……!」




<  彼の部屋にはご用心!!  >
〜越前のバアイ〜









 案内された部屋に通され、飲み物を取りに行った隙を見計らって、ベッドの下をめくれば出てきた一冊の本。
 表紙には金髪碧眼白い肌、ナイスバディを通り越してダイナマイトバディ(ナニソレ)でポーズを取ってる外国のオネーサン。


「おー、さすが帰国子女は違うね〜オカズもやっぱり洋モノか!」
「………オカズってなんスか?」
「どわああああ!?」


 初めて見る、外国モノのエロ本をめくろうとすれば、ガチャリとドアの開く音と共にかけられた声。


「え、えええええ越前!な、なななななんでもないよ!?」
「…あ。その本」
「い、いやあ、その、これはホラあれだよ!」


 あはははは、と乾いた笑いを浮かべて見せど、越前の視線があたしの握った本から逸らされる事はなく。
 はあ、と浅いため息をついて、すたすたとあたしの隣に越前が座る。


「…ま、別にいーけど。ソレ、先輩が見ても面白くないと思う」
「面白くないっつーか、全て英語なんで読めません。…まあ、写真だけでも十分エロイけどね」
「そう?外国のエロ本って、なんかイマイチだと思う」
「そのイマイチなエロ本を、アンタなんで持ってるのさ」
「俺のじゃないっス。それ堀尾の」

 
 こないだ俺んち来た時に忘れてったんだ、と、どーでもよさそーに言い、運んできたファンタに越前が口をつける。


「えー、じゃあ堀尾って洋モノが好きなのかー。今度会ったらからかってやろ〜(笑)」
「………なんて?」
「『よっ、堀尾!アンタエロ本、洋モノが好きだったんだね!!金髪好きとはやるね〜!!』って」
「…………頼むから俺の前では言わないで下さいよ」


 女の自覚ないっスよね、と言いながら言う越前を横目に、再びベッドの下を探ろうとすれば、ぐいっと腕を引いて制止させられる。


「―あ、ちょっと!もう少しあさらせてよ〜!!他にもなんかオカズないの!?」
「ないっスよ。っつーか、日本じゃエロ本の事、オカズって言うんスか?」
「エロ本だけに限らず言うよ。エロビデオとか雑誌とか、妄想するときの材料?そういう意味でオカズっていうの」
「ふーん………てかさ、先輩。せっかく彼氏んちに来てるんだから、エロ本探し以外のことやる気はないんスか?」
「あ?」


 未だベッド下に手を伸ばそうとするあたしの肩を強い力で押し、硬いフローリングに押し倒す。
 いきなり変わった視界と、越前に見下ろされるという日頃ない状況に、混乱する間もなく落とされたのは。





「…ッ!!」





 目を閉じるのも忘れるくらいに突然なキス。

 柔らかいその感触に、背中に手を回して答えれば、するりと伸びてくる越前の腕。
 

「…ん……う………っ!?ん!?〜〜〜んっ!!!??」
「……なんスか?」
「ちょ、待っ、え、なん、なんでボタン外して」
「なんでって。やるからでしょ」
「は!?」



 いやいやアンタいきなり何言ってんの、と、起き上がろうと抵抗しようにも、なぜかあたしより小さい越前の力は思いのほか強くて。



 じたばた暴れるあたしを易々と組み敷いたまま、にっ、と意地悪げな笑みを落とした彼が言った言葉は。




先輩、男の部屋で危機感なさすぎ。…まだまだだね」




 想像以上に素早く行われた行為に、最早文句を言う余裕すらなく。


 次から越前の部屋に行くときは、最大級で警戒すべきだという教訓が身についた、一日でした。








「おらァ堀尾、てめえ今日から筋トレ2倍だ!覚悟しとけよ!?」
堀尾 「はあ!?先輩、なんでですか!?」
「うるせえ黙ってこなしやがれ!ガタガタぬかすと5倍にすんぞ、あーん!?」
堀尾 「そ、そんな〜!?お、オイ越前!!助けてくれよ〜!!」
越前 「…………まだまだだね」



 ◆ ◆ ◆
 はいシリーズ第5弾はリョマ子でした(笑)
 うわーベタ!ベタ子!(笑)
 あたしけっこう好きなんですよね、生意気なリョマ子が(^_^;)
 こういう年下の男の子とかいたらクラッときますわ(痛い20歳)