「どーだ越前!!あたしの答辞泣けただろ!!??」
「………寝てた」

 なんですとー!!!???




<  最大級のイタズラ  > 






「信じらんなーい!!マジで寝るかあ!?」
「だって眠かったし」
「眠いからって寝るんじゃねえ!!お前はのび太か!!」

 コツンと軽く額を叩いてやれば、不本意そうに睨まれる。

 まあ、この生意気な1年生が、実際にあたしの答辞で泣いたりしたら、逆に気持ちが悪かったりするんだろうけど。

「生徒会長は手塚部長でしょ?なんで先輩が答辞したんスか?」
「……アンタ、そこから説明させる気?」

 部活中、何度も桃とか海堂とか、後輩集団に説明したはずなんだけど。

「あたし、青学の高等科行かないじゃん。副会長だし、せっかくだから最後にって事で、先生達が推薦してくれたのさ」
「………ああ、そういえば別の高校行くって言ってたッスね」
「そ。青学の高等科って普通科しかないからね。ま、手塚たちはスポーツ特待で行くから青学でもいいんだろうけどさ、さすがにあたしはマネージャーやってただけだしねえ」
「ふーん…」

 興味なさそうに返事をし、それきり黙りこんでしまった越前に、「何すねてんの」と聞けば、不機嫌そうに「すねてない」と返ってくる。

「いや、どう見てもすねてるよ!むしろいじけてるよ!!いじけ虫だよ!」
「いじけてない」
「いじけてるよ!子供がおもちゃ買ってくれない時の態度だよ、ソレ!!」
「……子供扱いしないでよね」

 ますます不機嫌そうになった越前を、背後からきつく抱きしめてやれば、予想通り返ってくる慌てた反応。

「ちょ、先輩、何するんスか!!」
「いーじゃん、最後くらい大人しく抱きしめさせてよ〜あー、可愛いな〜癒される〜♪」
「〜だから、そういう子供扱いを―」
「子供に子供扱いして何が悪い!!」

 ぴしゃりと言い切ると、抵抗していた越前の腕が、ぴたりと止まる。
 おや、と思い背後から抱きしめたまま覗き込もうとすれば、くるりと勢いよく反転され、抱き寄せられる。




「………なら、これでどう?」




 何が、と言い返そうとした瞬間、かすめる程度の速さで触れられた唇。

 素早く離れていった唇に、気づいた人は誰もいなくて。



「……これでもまだ、子供扱いする気ッスか?」



 ぱくぱくと、声にならない声をあげるあたしを、してやったり、という顔で越前が覗き込む。


 何が子供扱いだよ。

 最上級のイタズラじゃないか。


「そんじゃ先輩、高校行ってもたまには顔見せてくださいよ」


 くるりと踵を返し、まるでいつもの別れの様に去って行く越前に。


 あたしは初めて奪われた唇を押さえたまま、立ち尽くしたままで。



「………………今度から、悪ガキ扱いしてやるんだから……」


 悔し紛れと照れ隠しの混ざった言葉を吐けど、既に小さくなった越前に届くはずもなく。



どうやらイタズラ好きの彼が、あたしを追い越す日は、そうそう遠くないようです。







〜へぼへぼ管理人より〜

………リョマ子はちゅーばかりしすぎなんだよ(何いきなり)

むしろ、リョマ子のドリって全てちゅーで終わってる気がする…(冷汗多量)
だってホラ帰国子女だし!
向こうはすぐチューするし!(言い訳)
うう…もうちょっと工夫します……(涙)