< その手を伸ばす >
自信ありげに言い切る跡部を、柔らかい春の光が眩しく照らす。
これだけの男に選ばれる女の子は、一体どんなものだろう。
「…跡部に見初められる女の子は大変だね」
「あぁ?」
「だって、アンタの隣に立つなんて、ホント苦労しそう。色んな女の子に恨み買いそうだし」
けらけら笑いながら言えば、不満そうに、けれどどこか楽しそうに、返された言葉。
「じゃあお前は苦労する運命だな。せいぜい頑張れよ?」
……………はい?
跡部さん、アナタ今何を言いやがりました、と聞き返せば、無造作に放り投げられる、丸いもの。
春の柔らかい光を浴びて、きらきらしながらゆっくりとあたしの手の中に収まるソレは。
「………ボタン?」
「『好きな人のボタンを欲しがる、純粋な乙女心』ってヤツなんだろ?」
クッ、と、意地悪そうに笑う跡部に、言い返す言葉なんて思い浮かぶはずもなく。
「誰がアンタの事好きなんて言ったのよ」
高鳴る鼓動を必死で隠しながら言った強がりは、やはり彼の意地悪な言葉にかき消されて。
「そんな赤い顔で言っても説得力ねえぜ?」
伸びて来た腕の中、強く抱きすくめられ、さらりと髪に触れられる。
「………アリ扱いしたら殺してやるから」
「あぁ?お前ホントに馬鹿だな」
馬鹿扱いもすんな、と睨もうとすれば、思いのほか優しくふってくる言葉。
「俺が手を伸ばす人間は決まってるって言っただろ?」
〜へぼへぼ管理人より〜
何このエセ跡部!
過去拍手、ご要望がありましたので…つい…(何がつい!?)
スランプに乗じて苦し紛れにUPしてしまいました!
ごめんなさい、ちゃんと本編も進めます!(汗)